講師からのメッセージ

HOMEMESSAGE > Vol.2 Toshizo Fujiwara



=自立した俳優の育成=

訓練のことや役へのアプローチ、公演に向けての具体的な準備などについて、
自分の方法論を持っている俳優。
自立し、真に演出家のよきパートナーとなれる俳優を育てる。

俳優は孤独な存在である。
訓練を共につづけるよき仲間たちがいたとしても、
心より信頼をよせる演技教師や演出家がいたとしても、
舞台の上やカメラの前で、日々の訓練の途上で、
俳優を正しい方向へ導くのは俳優自身でしかない。

そして、その俳優を助けるのは、
俳優が長きにわたって体のなかに積み上げてきた方法論である。
演技教師や演出家は何かのヒントを与えてくれるかも知れない。
しかし、俳優を真に成長させるのは俳優自身の方法論に基づく実践である。
訓練の途上で、ふとしたとき「ああ、そうか!」と気づく。
実践の継続のなかで失敗と成功をくりかえし、
気づいた時、俳優は成長する。

このワークショップは、俳優のよりどころとなる個々の方法論を
より豊かに、より実用的にするための足がかりとなる場である。

=生徒に演技の方法論を伝えるときに大切なこと=

どんなすばらしいマニュアルがあっても、ただそのまま伝えたところで
それは単に知識としての伝達でしかない。
「生徒は人との作業を求めてスタジオへ来る」
もし彼らにその必要性を感じないなら、
ひとり演劇書を読みあさり、ひとり訓練に励むだろう。
トレーナーたちに知識や経験がどんなにあろうと、
生徒たちとはまず人として接していくべきだ。 
そしてぜひ自分自身の体験を通して生徒に何かを伝えていきたい。
自分はどのように訓練してきたか?どうやってその技術を手に入れてきたか?
うまくいった点 うまくいかなかった点 具体的な体験談を通して伝えてほしい。 
そうでなければ生徒たちの心には何もひびかないだろう。
トレーナーが実際に見たもの映画でも舞台でもいい。
また今までに目撃した身近な俳優の仕事でもいい。
そうすればクラスにトレーナー自身の個性が反映され、生徒たちは
そのクラスで学ぶよろこびを得ることができる。

また生徒たちひとりひとりにどんな俳優になってほしいかという
具体的なヴィジョンを持つことも大切だ。
ただ一方的に指導するだけでは前述したような「自立した俳優」の育成には
つながらない。

=ヴィジョンの共有=

何となくいい俳優を目指すといった目標設定ではあまりにも漠然としている。
オリンピックで金メダルを獲るというビジョン、より燃費のいい車を開発するというヴィジョンなど、具体的なヴィジョンを生徒とトレーナーが共有すれば格段に訓練の成果は上がる。
そしてその上でヴィジョンの達成計画をある程度区切って設定することが必要である。

目標は高ければ高いほどその道のりは険しくなり勾配は角度を上げる。
山登りをしたことのない人がチョモランマの登頂を目指すにしても、いきなり登っていっては高山病にかかるか怪我をして下山し、自分には到底不可能だとあきらめてしまう。
どんな分野にも高みへ上がるための段階というものがある。
愛知県の野球少年だった鈴木一郎が、
「世界のイチロー」になるにはどれほどの節制と努力の積み重ねがあったのか!
ぜひ高い目標を設定し達成にむかって努力を重ねてほしい。
大きな目標を達成するにはあせらず、着実に段階を踏んで高みを目指すことだ。
その際、トレーナーと生徒は一段一段の具体的なヴィジョンを確認し、
小さな目標をひとつずつ達成したことを確認することが大切だ。
「できるんだ」という積み重ねが大きな自信となり、新たな人との出会いや作品との出会いを呼び込む。悩みながらも目標に向かって努力をつづけているひとは魅力的だ。
ひとはそういうひとと関わり、仕事をしたいと思うだろう。
また努力の末獲得した自信は、困難に出くわした時どうすればその困難を乗り越えられるかを教えてくれる。

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